本の感想⑤《センスメイキング》

センスメイキングという本を読みました。

センスメイキングとは洞察力を生んでいく行為の事を言うそうです。
この本には「他の文化について何か意味ある事を語る場合、自身の文化の土台になっている先入観や前提をほんの少し捨て去る必要がある」と書かれています
そして「自分自身の一部を本気で捨てさる事ができれば、その分、まったくもって新しい何かが取り込まれ、洞察力も得られる」としています
どうしても人は、自分の先入観だけで物事を見てしまう事があるように思います
その事がいけないとは思いませんが、何か違和感や疑問に感じる事があった時に、先入観だけでわかったとしていくのは良くないように思います
違和感や疑問に感じる事を自分の先入観だけで見てしまうと、そこにある事実を見ることができていない事があるように思います
センスメイキングに必要なのは、事実を事実として見ていく事だと思います
そこにある事実を見ていくためには、センスメイキングに書いてある自分の先入観をほんの少し捨てさる意識が必要なのかもしれません

センスメイキングの5原則は、個人ではなく文化、薄いデータではなく厚いデータ、動物園ではなくサバンナ、生産ではなく創造性、GPSではなく北極星になります
個人ではなく文化は、物事を相対的な関係で捉える事です
薄いデータではなく厚いデータは、単なる事実の羅列ではなく文脈を捉える事です
動物園ではなくサバンナは、真実は檻の中ではなく現実にある事を知る事です
生産ではなく創造性は、生産性のない不確かな事から創造は生まれるという事です
GPSではなく北極星は、ビックデータをどう解釈するかが大事になるという事です
これらの5原則を意識していく事が、センスメイキングである洞察力を得ていくためには必要不可欠な事だといえます
5つの原則のすべてを意識していく事で、自分にある先入観だけで物事を見るのではく、少しだけ先入観を捨て去る事ができるようになると思います
私たちは、自分で意識していなくても、多くの事を自分の先入観で見ています
ここにある5原則を意識して、常識や普通はという言葉で縛らている自分の先入観をほんの少しだけでもなくせれば、洞察力は高まるように思います

更にこの本では「アルゴリズムによるビッグデータを適切に活用するために必要なのがセンスメイキングによる洞察力である」と言っています
私たちの生活は、インターネットの普及によって多くの情報を手にできます
どんな情報もネットを介して誰もが手にできるようになっています
そして、これまでは難しかったビックデータの解析も、AIを活用したアルゴリズムによって容易に解析できるようになりました
多くの情報が解析される事はいい事だとは思いますが、情報はあくまでも情報であって、それを活用するのは私たち人間です
多くの情報から何を選択し、それをどう捉えて、どう活用していくか、その事を私たち自身が考えていく事が、ビックデータの活用には必要だと思います
ビックデータが今後の未来のすべてを表しているわけではありません
それなのに、データで出ているからと、データだけに頼りきったり、きっとこうだと、明確な根拠がないまま自分が望む結果で結論付けるのは危険です
それでは、ビッグデータにただ振り回されていくだけのように思います

あなたは、事実がわかっていない事を、先入観でこうだと思う事はありませんか
こうかもしれないと予測するだけなら良いとは思いますが、予測でしかない事をこうだと断定してしまうのは、自分の先入観を強めてしまう事になります
AIによるビックデータの活用が進んでいけばいくほど、その情報をどう活用していけば良いのかが問われてくると思います
これまでは、情報を多く持っていれば有効であった時代から、持っている情報をどう精査して活用していくかが重要になってきていると思います
ビックデータを活用する必要性がわかっていても、自分の先入観で活用しようとしていては、ビックデータを適切に活用する事はできないように思います
これまでの経験や知識は大事なものですが、それに固執しては良くないと思います
知識があり情報に精通していた人ほど、自分の先入観にとらわれてしまい、「こうかも」という事を「こうだ」と決めつけていくように思います
今の社会にあるビックデータを自分の先入観で見ていると、活用しているのではなく、ただ振り回されてしまうようになっていくと思います
そうはなりたくない、そう思う人にはお勧めの本だと思います